新しい遊びのシステムの構築と創造に努力を

|
(社)日本アミューズメントマシン工業協会
会長  柿原彬人
 新年、明けましておめでとうございます。昨年は当協会ならびに当協会各位の皆様の格別のご支援、ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 昨年の我が国経済は、数年来の課題である不良債権処理を断行することも出来ず、過去の負の資産との決別が出来ないままで終わってしまいました。加えて、一昨年来の米国のIT不況に端を発した景気後退は、昨年9月の米国での同時多発テロの勃発によりさらに深刻さを増し、世界同時不況の様相を呈し、景気の先行きはますます不透明感を増しているように思われます。この閉塞感を脱却するためには、戦後長きにわたった公的部門への過大な国民負担を劇的に削減し、民間の創意工夫や起業家精神に基づく民間活力を最大限に発揮できる新産業、新業態を創出するしか術はないものと考えております。

 さて、当アミューズメント業界は20世紀初頭に科学技術の進歩により都市型娯楽の一形態として生まれ、70年代後半のテレビゲームの出現により目覚ましい発展を遂げ、新しい産業として認知されるに至りました。しかしながら、近年、当業界を取り巻く環境は大きく変化いたしました。家庭用ゲーム機の進化による数次にわたるハイスペック化と業務用とのボーダレス化、主に若年層における携帯電話等のモバイル端末の爆発的な普及がもたらすエンターテインメント化と時間および消費支出の増大、家庭用ゲーム機がデジタル情報家電の一つとして大容量の動画像をリアルタイムに送受信できるブロードバンド時代の幕開け等であります。

 これらの現象を一言で表現しますと、「ネットワーク時代」の到来ということでありましょう。これは人類の生活を大きく変えた活版印刷術、電信・電話の発明と同様、国境や人種の壁を取り払い、誰もが同時に共通の情報を共有し、互いの距離感をより身近なものとするでしょう。そして、このような動きは人々の間に急速に普及し、生活の中に浸透し、多様な価値観を生み出し、それを「エンジョイ」する社会になるものと思われます。産業構造も好むと好まざるとにかかわらず大きく変革し、変化に対応「できるもの」と「できないもの」が峻別されるものと思います。

 我がアミューズメント業界も例外ではありません。我々業界人は技術の進歩に伴い、その時代の先端技術と遊びの発想をお互いの切磋琢磨の中で融合させ、人々が「面白い」と感じるクリエイティビティ溢れるゲームデザインの手法や生産技術を伴い、確立してまいりました。これらは、業界が保有する世界に冠たる貴重な「知的資産」で、来るべき時代に応用できるものも少なくないと思います。

 昨年来、オンラインゲーム等で表現される、いわゆる「ネットワークゲーム」が現実味を帯びて、広く論じられるようになりました。大胆な予測をさせていただければ「ネットワークゲーム」を牽引して認知させていくのは「アーケード」のフィールドだと考えます。新しいものを大衆に浸透させていくには、アレルギーを取り除く「簡単・安い・楽しい」がキーワードとなります。まさに「アーケード」が新しい時代のリーダー的存在となるでしょう。今こそ、当業界が築き上げた有益な「知的資産」と、これからの最高技術水準に裏付けられた、洗練された上質の「面白さ」を融合したゲームをネットワークに乗せることは、ゲームの進化した形態として、その「潜在的可能性」は極めて大きいのではないでしょうか。

 一昨年9月、アミューズメント業界のJAMMA、AOU、NSAの三団体が共同で若手有志による「活性化特別委員会」を発足させました。そして、昨年3月「アミューズメント業界の活性化に向けて」と題する中間報告書が取りまとめられました。現時点では最終報告書を待たなければなりませんが、中間報告書の中で数々の提言が網羅的に列挙されておりますが、これらはおおむね正鵠を射ているものと考えます。今こそ業界を挙げて過去の成功体験にとらわれず、新しい「遊び」のシステムの「創造と構築」に努めなければなりません。

 これからのゲームの主流は「コミュニケーション」が中心になると推測されます。そして、これらを成功裡に達成すれば、i-modeという利用形態を生み出した携帯電話と並び、産業として日本の得意分野になることは想像に難くありません。それは、我が国経済の発展に大きく寄与するとともに、世界に対し大いに文化的な意義を発信することになると思うのであります。

 最後になりましたが、関係各位のご指導、ご支援をお願い申し上げますとともに、皆様方にとりまして新年がより飛躍の年となりますことを祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。