新春のご挨拶 経済産業省製造産業局長 今井 康夫氏

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 平成15年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 昨年を振り返ってみますと、日韓共催W杯における代表チームの健闘や製造業の現場からノーベル賞の受賞者が輩出されるなど明るく勇気づけられるニュースもありましたが、日本経済は長い景気低迷を続けいまだ暗雲の中から抜けきれていないというのが多くの人たちの実感しているところであります。

 こうした中、政府を挙げて、一連の経済構造改革に取り組んでいるところでありますが、製造業という観点から見た場合、我が国製造業の生産拠点の海外への急激な移転が進み、とりわけ近年低廉な事業コストと急成長する市場という強大な吸引力を有する中国を始めとするアジア諸国に相次いで生産拠点を移しつつあります。

 製造業はGDPの4分の1を占め、その輸出による外貨獲得は資源の乏しい我が国にとって加工貿易立国の中軸を成しております。また、民間のR&Dリソースの9割以上は製造業によるものであり、ものづくりの現場から遊離しては産業技術の発達は期し得ないことから、まさしく製造業は科学技術創造立国の基盤を成すものであります。

 こうした我が国経済における製造業の重要性に鑑み、産業空洞化問題に如何に対処するかということを中心に今一度我が国産業の競争力強化の総合戦略を練り直すべく、経済産業省は昨年5月平沼大臣主催の産業競争力戦略会議において「産業競争力強化のための6つの戦略」をとりまとめました。この提言の大半は「経済活性化戦略」として政府全体の取り組みとなり、現在着実に実施しているところです。具体的には、実用化・市場化に直結する戦略技術の研究開発への予算の重点投入、研究開発税制の抜本強化やIT投資促進税制の創設、産業再生税制の拡充、「改革加速のための総合対応策」に基づく産業再生機構の創設等、我が国産業の再生及び競争力強化のための施策を講じております。

 こうした政府全体の経済構造改革への取り組みの中で、製造産業局といたしましては、直接産業界の生の声に接することができる原局の立場から、皆様方の忌憚のないご意見を伺いながら製造業発展のための取り組みを積極的に講じていく所存であります。そうした立場から、次の2点を強調させていただきたいと存じます。

 第一は、新分野・新規産業創出のために官民一体となって取り組むという点であります。我が国が瀕している長期的な経済低迷の根底には約20兆ともいわれる構造的な需給ギャップの存在があります。この需給ギャップを解消し、日本経済を深刻なデフレ状態から健全な成長軌道にのせ、また中国等への生産拠点移転の加速化など産業空洞化問題に対処するためには、技術革新(イノベーション)を生み出し、新たな成長市場の創出および潜在需要の開拓につなげることが不可欠です。このため産業界においては、積極的な研究開発投資や産学連携を通じて多くの「挑戦者」が生まれることを期待すると共に、実用化・市場化に直結する戦略技術の研究開発に政策資源を重点的に配分するなど、官民一体となって新たな戦略技術の発掘に引き続き取り組んでいく所存です。

 もう一つは、経営資源の「選択と集中」の取り組みを個別企業内はもとより業界再編をも視野に入れた業界全体の活性化に向けて最大限努力してまいりたいと考えております。もとより事業の統合や合併は当事企業の経営判断に委ねられるべきであることは申し上げるまでもありませんが、再編を通じてより大きな懐を作り出し、その中でコスト削減を図り、そこから生み出した経営資源をR&Dを含む戦略事業分野に投入することが不可欠になっていると考えます。産業再生法の抜本改正や研究開発投資減税などの税制改正を通じて、新たに関係企業が事業再構築を進めやすい環境を整えると同時に、加速化が予想される不良債権処理によっていたずらに貴重な経営資源が失われることのないよう「企業再生」を支援してまいりたいと存じます。

 最後になりましたが、平成15年の皆様方の一層のご活躍とご多幸を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。