平成17年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年を振り返ってみますと、多くの台風や地震によって各所に甚大な被害がもたらされた年でありました。まず、これらの災害によって被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申しあげます。被災者の方々が一日も早く穏やかな毎日を送れるよう、今後も被災地の産業復興に全力を尽くしてまいります。
さて、我が国経済を概観してみますと、一部に弱い動きは見られるものの、輸出・生産の増加を受けて企業収益が大幅に改善し、個人消費も緩やかに増加する等、景気は概ね堅調に回復しております。この景気回復を大きく支えているのが、我が国製造業であります。我が国製造業の付加価値額は対GDP比で2割を越え、また海外輸出品に占める工業製品の割合は実に9割を超えるなど、資源の乏しい我が国においては外貨を獲得する重要な産業になっております。さらに、民間の研究開発投資についても製造業が約9割を占めている等、我が国経済の発展において製造業が果たす役割は、非常に大きなものとなっております。
このように、我が国製造業は経済の維持・発展の原動力であるという認識に基づき、景気回復の流れを一層確実なものとすべく、本年も次に示す諸課題に積極的に取り組んでまいります。
第一に、技術開発や人材育成による国際競争力の強化です。
我が国製造業が中長期的な国際競争力を維持・強化していくためには、実用化を視野に入れた研究開発を進めていくことが重要です。昨年5月に策定した「新産業創造戦略」を踏まえ、ロボットやナノ、バイオといった重要分野において、新たな商品やサービス、技術の創出に向けた研究開発プロジェクト等を強力に推進してまいります。
また、技術を最終的に支えるのは「人」であります。本年は、我が国経済の発展を支えてきた「ものづくり」を着実に継承し、さらに発展させていくため、最先端の技術から伝統的・文化的な「技」まで幅広い分野において中核を担う中堅世代のうち、特に優秀と認められる人材に対して内閣総理大臣表彰を行う、「ものづくり日本大賞」を創設いたします。この表彰制度を一つの契機として、「ものづくり」に携わる人々がその持てる技術・技をさらに磨き、研鑽されることを期待するものであります。
第二に通商関係です。
昨年はメキシコとの間で経済連携協定(EPA)を締結し、フィリピンとの間の交渉も大筋合意に至りました。世界全体で208もの経済連携協定が締結される中、我が国企業が新たな市場において円滑に事業活動を行い、国際競争力を維持・強化していくためにも、今後の交渉に適切に対応していくことが肝要です。既に交渉入りしているタイ、マレーシア、韓国との交渉に全力を尽くすことはもとより、4月から予定されているASEAN地域との経済連携交渉を積極的に推進してまいります。
また、今後とも我が国製造業が中国を始めとするアジア諸国に対して優位性を確保していくためには、地理的・経済的にも密接したアジア諸国の成長要素を取り込むとともに、海外における模倣品・海賊版対策を含め、事業戦略・技術開発戦略と一体になった知的財産戦略を推進することが不可欠です。製造産業局では昨年7月に模倣品・海賊版被害に関する政府の一元的な相談窓口を設置し、模倣品被害等の相談に対する迅速な回答提示や、アジア諸国への対策強化の働きかけ等の対策を講じているところであり、本年も引き続き模倣品被害等への対策を充実・強化してまいります。
第三に、企業を取り巻く事業環境等の整備です。
我が国製造業が国際競争力を維持・強化していくためには、中長期的な視野の下、事業の再構築及び経営資源の選択と集中、業界再編等を大胆かつ戦略的に行っていくことが肝要です。もとより、事業の統合や合併等は各企業の経営判断に委ねられるべきであることは申しあげるまでもありませんが、当省としましても、日本版LLP制度の創設といった産業組織法制の整備等を通じて、各企業が事業再構築を進め易い環境の整備に注力してまいります。
また昨年以来、鋼材を含む原材料等の価格高騰、需給逼迫が続いております。昨年は原材料等連絡会議を開催し、随時実態の調査等を行ってまいりましたが、本年も引き続き原材料等の価格や需給の状況を注視し、的確な実態把握、対応に努めてまいります。
経済産業省製造産業局といたしましては、これらの施策を着実に実行することを通じて、我が国製造業、ひいては日本経済の更なる発展を実現していきたいと考えております。
最後になりましたが、本年の皆様方のご健康とご多幸をお祈りしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。



