平成19年の新春を迎え、謹んでお喜び申し上げます。
日本経済は、バブル期以降の厳しい時代をようやく抜け出し、穏やかではあるものの、着実に景気回復を続けております。昨年11月には、戦後最長の「いざなぎ景気」を超え、かつてない息の長い景気回復を見せております。製造業におきましても、各企業の弛まない経営努力と我が国の高いモノ作り技術によって、企業競争力がこれまで以上に強化され、多くの産業では過去最高の好景気を迎えております。このような中で、平成19年新春を迎えることができましたことは、経済産業省製造産業局長として誠に嬉しく思います。
本年におきましても、資源価格の高騰、北朝鮮情勢、為替動向など国内外に不安定要素は残るものの、企業部門の好調さが次第に家計部門へ波及していくことによって、国内需要の拡大が喚起され、更なる景気の拡大に繋がると期待しております。
しかしながら、我が国経済を取り巻く環境を見ますと、必ずしも楽観できる状況ではありません。国内では、世界に類を見ない少子高齢化・人口減少社会の到来、増嵩する財政赤字など、将来の成長の阻害要因となりうる大きな構造変化に立ち向かう必要があります。また、国外でも、グローバル化の進展により国際競争の激化、東アジア諸国の急速な追い上げ、エネルギー・環境規制の高まりといった大変難しい課題に対応することが求められております。また、企業内においても、昨年頻発した製品事故やリコールなどに象徴されるように、団塊世代の退職を迎え、現場の技術力の低下が強く懸念されております。
このような中においても、我が国の民間研究開発投資の約9割を占めている製造業が、引き続き、我が国経済を支える基盤産業として経済成長の牽引役を担っていくことが重要であり、そのため、製造業の競争力維持強化に向けた施策を重点的に展開してまいりたいと考えております。具体的には、本年も次のような課題に積極的に挑戦してまいります。
第一に将来の経済成長を担う新しいモノ作り産業群の育成に向けて、産業のイノベーションを加速します。
新産業群創出に向けて、昨年策定しました「新経済成長戦略」に示された知能ロボットや次世代航空機、新世代自動車向け電池、がん対策等先進医療技術の開発、宇宙産業の競争力強化などを強力に推進してまいります。さらに、国民の健康に向けた取組として、健康関連情報のデータベース化など、健康関連産業の発展に向けた基盤整備等を推進してまいります。
また、ファッションやデザインといった、技術に加え感性によって付加価値(感性価値)を生み出す創造活動を積極的に支援してまいります。ファッションの国際競争力を高めるための取組として、平成17年秋より「東京発 日本ファッション・ウィーク」を開催しております。今後ともクリエイティブな発想とブランド力の強化によって、生活文化関連産業の活力を再生するとともに、「ジャパン・ブランド」を世界に向けて発信してまいります。
他方、イノベーションを推進する前提として、安全・安心の確保が不可欠であります。そのため、子どもの安全と健やかな成長発達につながる生活環境の創出を目指したデザイン(キッズデザイン)の普及を図ります。加えて、更なる安全・安心の追求や国際的制度調和への対応のため、化学物質管理の制度体系の抜本的な見直しを進めてまいります。
第二にモノ作りを支える「人財」の育成です。
モノ作りの現場はいうまでもなく人が支えています。人口が減少していく中で、製造業の品質・コスト・安全を追求するためには、モノ作り人材の育成が欠かせません。しかしながら、90年代以降、景気の低迷や従業員構成の高齢化に伴う人件費の増大を受けて、製造業の多くはリストラや採用の抑制、人材育成費用の削減を行いました。
団塊世代が大量に退職すると言われている2007年を迎えるに当たり、団塊世代の技術や技能がきちんと次なる世代に伝承していけるよう、次代の現場を担う中核的な人材の育成を積極的に進めるとともに、これまでに培われてきたモノ作りの「技」と「匠」に今一度スポットライトを当てるべく、「第2回ものづくり日本大賞」の実施を予定しております。
第三に、経済連携や知財管理の推進によって、製造業のグローバル展開を支援してまいります。
世界経済の一体化が進み、我が国製造業が生き残っていくためには、グローバル市場で国際競争力を強化するとともに、アジア大で最適な国際機能分業体制を築いていくことが重要です。そのための基盤整備として、各国とのFTA・EPA交渉を今後も戦略的に進めてまいります。
また、アジア諸国を中心に我が国企業が持てる強みを活かして競争できるような環境を整備するため、アジアを中心に知的財産が保護される法制度の整備、厳格な運用がなされるよう推進してまいります。さらに、模倣品・海賊版の拡散を防止するためのキャンペーンや模倣品・海賊版拡散防止条約の実現に向けて引き続き、取り組んでまいります。
地球規模の課題である環境問題におきましても、国際的枠組みを踏まえ、必要なCO削減を支援してまいります。
経済産業省製造産業局といたしましては、これらの施策を迅速に遂行していくことで、我が国製造業ひいては日本経済の更なる発展を実現していきたいと考えております。
最後になりましたが、本年の皆様方のご健康とご多幸をお祈りいたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。



