JAMMAの注目事業紹介 第2回

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57chumokurogo.jpgアミューズメントマシンの
安全対策

 前回から始まった、JAMMAが現在行っている事業の数々の中から、会員の皆様に対しより深く理解していただきたい事業を紹介する特集。
 第2回は「アミューズメントマシンの安全対策」について、今回は特別にJAMMAの活動に対し、ご指導をいただいている経済産業省商務情報政策局製品安全課から、AM業界に向けた一文を寄稿していただき、紹介します。

安全・安心なアミューズメントマシンを
供給するために

経済産業省 商務情報政策局 製品安全課

1.アミューズメントマシンに求められる安全性能

 一般消費者は、時にメーカーの想定範囲を超えた行動をとってしまうことがあります。場合によっては死亡事故、火災事故等重大な製品事故へとつながることもあります。

 例えば、電気ストーブの上に洗濯物を干してしまい、落ちた洗濯物が発火してしまう、洗濯乾燥機の脱水が終わらないうちにフタをあけて中の洗濯物を取り出そうとして指を巻き込まれる、電気あんかのコードを本体にぐるぐるに巻き付けてコードが断線してしまう等、数え上げればきりがないほどたくさんの事例があります。
 原因は、消費者がメーカーの用意した取扱い説明書や製品本体の注意表示を十分読まなかったこと、無理な使用をした際にどのような危険を招くか、起こりうる結果に対する認識が甘かったことが挙げられます。電気製品であれば、使用時は電気が通電されていますので、使い方を誤れば、感電、やけど、火災のおそれがありますし、電気製品に限らず可動部や折りたたみ部がある製品であれば、体の一部を挟まれたりするおそれがあります。
 こういった誤使用・不注意事故については、消費者に100%責任があると決めつけるのではなく、個々に要因を精査する必要があります。
 誤使用・不注意事故の原因となる要素をまとめてみますと、
(1)場所の特性(問題)
(2)消費者の特性(問題)
(3)構造上の特性(問題)
 の3つに分類できるかと思います。このうち、特に(3)の要素が少しでもあるケースでは、そもそも設計段階で事前に対策できなかったか、特に乳幼児を含む子供や高齢者への配慮があったかどうかが社会的に問われることになります。もちろん、それは製品本来の機能が損なわれない範囲、コスト的に見合う範囲での対策が可能であるか考慮しなければなりませんが、考えられるリスクと良く比較する必要があります。
 ポイントとしては、(1)(2)から誤使用・不注意が容易に想像できるのであれば、その対策を製品の設計段階で対応可能な(3)での措置を行うことが事故の未然防止の観点から求められます。
 記憶に新しいのは、昨年12月にショッピングセンターのゲームコーナーのゲーム機で遊んでいた2歳児がコイン返却口に指を入れて、鋭利なフタのエッジで指を切断してしまった痛ましい事故です。
 本件の原因となる要素を同様にまとめてみますと、
(1)場所の特性(問題):乳幼児を含めて不特定多数の老若男女が出入りする。
(2)消費者の特性(問題):ベビーカーに乗った乳幼児や小さな子供が近づいた場合、手の届く範囲にあるものに触れたり、指を入れたりする。
(3)製品の特性(問題):コイン返却口に指が挟まれやすい構造である。
 となります。(1)(2)は容易に想定できる上に、被害の程度の大小はありますが事故が多発していますので、(3)に関する弾力的な検討が必要です。
 この事故が我々に教えてくれるのは、子供を連れていた保護者、ゲームコーナーの管理者に全く責任はないとは言い切れませんが、消費者(プレイヤーに限らず製品に触れる可能性のあるすべての人間)の特性を考えれば、特に乳幼児の場合は、周囲のものに興味を持って触れることが多々あり、本体の注意書きを読んで危険を察知することもできませんし、加えてベビーカーに乗っていれば、大人とは目線も手を触れる範囲も異なりますので、製品側つまりコイン返却口に指を入れてしまう行動を予測し、製品側にその対策を事前に講じなければならなかった、ということになります。

2.事故情報の活用について


 平成19514日に改正消費生活用製品安全法が施行され、事故報告制度は大きく変化しました。それまでは電気用品安全法の規制対象製品であれば、電気用品事故等報告書による報告を要請していましたが、改正後は、一般消費者用製品(一般消費者が生活の用とするために購入する製品)にあっては、重大製品事故(火災事故、死亡・重傷事故等)の場合は、事故を知った日から10日以内に経済産業省へ事故の報告を行わなければなりません。さらに、重大製品事故以外の事故、いわゆる非重大事故については、独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下、niteという。)への速やかな報告を要請しています。
 アミューズメントマシンのような電気用品安全法の規制対象となる業務用電気用品(業者等が業務の用のために購入する製品)にあっては、被害の程度が重大製品事故に該当する事故及び非重大事故を併せてniteへの報告を要請しています。
 ここで重要なのは、事故になる一歩手前のいわゆるヒヤリハット事象についても、niteへの積極的な報告をお願いしている点にあります。これは、重大な事故につながる芽を事前に察知し、事故が発生・拡大する前にその芽をつんでしまうことが重要だからです。
 苦情情報を収集してヒヤリハット事象を日々チェックし、対応が後手後手にならないよう迅速に対応することが社会的に求められています。そのために、どんな小さな事象であってもそれらを把握し、すぐに対応できる社内体制、また、それらを蓄積し、現場や製品にフィードバックする社内体制が求められます。
 我々も、ヒヤリハット情報が各メーカーからniteに提供されていれば、niteの情報を元にして、それが例えばメーカー固有のものでなくメーカー横断的な事象であれば、業界団体と協力して注意喚起を行う等事故防止に協力することができますので、ヒヤリハット情報の把握とniteへの報告は是非お願いしたいところです。

3.今後アミューズメントマシン業界に
期待すること


 以上をまとめますと、想定される誤使用・不注意があれば、設計段階で十分配慮し、テストをくり返すことで製品自体に安全性能を持たせることが必要です。
 しかし、起きてしまった事故については、たとえ1件の事故であっても原因を詳細に分析するとともに、拡大被害の可能性や多発の恐れが否定できない場合には、速やかに既販品への対策を講じるとともに、今後の新製品へ反映することが事故防止のために必要となります。
 それがスピーディに進まず、事故の発生が止まない状況になってしまいますと、電気用品安全法の技術基準を厳しくする等規制を強化することも選択肢ですが、それ以前に各メーカーが自主的に事故防止のために、前向きに取り組まれることが期待されます。
 昨年のコイン返却口の事故を受けて、直ちにJAMMAから会員各社及びアミューズメント施設を管理する団体に対して、同様の事故を発生させないための対策を至急行うよう要請がありました。これに対して、各メーカーがどのような対応をとっていくかが今後の事故防止の大きな鍵となると言えます。
 特に、ゲーム機の管理は現場の業者に任されることが多いことから、メーカー自ら対策がきちんと行われているか現場レベルでの確認等アフターフォローを行うことが必要です。例として、他の分野の製品で、対策部品の供給を消費者に送り付ける方法でリコールを行っている事業者がありましたが、実際、消費者は製品に対策部品を取付けておらず、結果、その未対策の製品で重大製品事故が起こってしまい、リコールのやり直しに迫られたケースもあります。
 古い製品の場合、中古市場に流れてしまって、その後の設置・使用状況を把握することが難しい面もありますが、各メーカーが設置・管理業者と一丸となり、指はさみ対策の対応が隅々まで行き届くよう今後の活動を見守りたいと思います。
 言うまでもなく、事業者にとっては、事故の対応を誤れば、前述のようにさらなるリコール費用の支出を強いられるだけでなく、取り返しのつかない企業のブランドイメージの喪失につながる可能性があります。
 今後、痛ましい事故が起きないことを切に願うとともに、アミューズメントマシンは本来「子供が近づくと危ない製品」ではなく、「誰もが安全かつ安心して楽しめる製品」であるという認識のもと、業界全体の発展を期待しています。