平成18年の新春を迎え、謹んでお喜び申し上げます。
昨年を振り返ってみますと、わが国経済が着実に回復を続け、製造業における国内設備投資が増加、「第1回ものづくり日本大賞」の開催による現場の職人の方々の表彰など、様々な分野において、わが国における「ものづくり」の良さが再評価され、最先端の技術から伝統的・文化的な「技」まで幅広く注目された年でありました。
わが国経済を概観してみますと、原油価格高騰の動向が内外経済に与える影響等に留意する必要があるものの、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が見込まれております。この景気回復を支えているのが、わが国製造業でございます。わが国製造業の付加価値額は対GDP比で全産業の約2割を占め、雇用者数も約2割を占めるなど、引き続き重要な地位を占めております。さらに、民間の研究開発投資についても、製造業が約9割を占める等、わが国製造業は日本経済を支える基盤産業であるとともに、経済成長の牽引役として重要な役割を担っております。
一方で、わが国製造業は、グローバル化による国際的な機能分業の進展、環境・資源制約の高まり、急速な少子高齢化の進行等の大きな構造変化に直面しており、中長期的な産業競争力の維持・強化を実現していくために、本年度も以下の諸課題に取り組んでまいります。
第1にイノベーションの創出に向けた基盤整備の促進です。
わが国製造業が中長期的に国際競争力を維持・強化していくためには、イノベーションによる新産業の創出が不可欠な要素です。昨年策定致しました「新産業創造戦略2005」を踏まえ、ロボットやナノテク、バイオ等の研究開発プロジェクトを強力に推進してまいります。
わが国には、高機能部材から新素材、金型等まで幅広い産業が高い技術力を持って集積しており、世界に例のない部材産業の基盤がございます。このような高度部材産業の集積こそが、今後成長が期待される情報家電や燃料電池などの新産業創造分野における競争力の源泉であります。こうした次世代の新産業にとって戦略的に重要な高度部材について、支援を行ってまいります。
また、わが国には世界に誇る高品質なものづくりの技術、デザイナーを鍛える感性豊かで厳しい消費者、購買力の大きな消費市場を有しているという強みがございます。昨年は、ファッション・ビジネスの国際競争力を高めるための取り組みとして、「東京発 日本ファッションウィーク」が開催されました。
今後とも国際的なブランド戦略による繊維産業の競争力強化に向けた取り組みや、伝統的工芸品産業等、地域経済の核となっている産業に対する適切な支援を通して、世界に向けたわが国のものづくりの発信を目指してまいります。
第2に環境問題に対する取り組みです。
現在、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの排出量は、増加の傾向にあります。持続可能で常に発展し続ける社会を維持していくためには、環境・資源制約への対応は不可欠です。わが国にはエネルギー効率の面で世界をリードする生産技術・生産プロセスがございます。世界に誇るこれらわが国の強みを活かすとともに、今後も環境適応型の小型航空機の研究開発や、低燃費かつ低排出ガスといった環境負荷の小さな自動車の普及促進等、自然環境と産業活動の両立に努めてまいります。
また、昨年以来アスベストによる健康被害が相次いでおります。被害の実態を踏まえ、今後とも関係省庁間で連携しつつ、アスベスト含有製品の早期代替化の推進等の措置を講じてまいります。
第3にグローバル経済への対応です。
国際的な資本や物資の移動が盛んになり、世界経済が一体化していく中で、製造業における競争も益々激化しております。特に台頭著しい、中国をはじめとしたアジア諸国との間で、いかに最適な国際機能分業体制を築いていくかということは、引き続き重要な課題です。
昨年、経済連携協定につきましては、わが国とマレーシアとの間において締結に至り、タイとの間では大筋合意に至りました。現在世界全体で200近くもの経済連携協定が締結される中、わが国企業の海外市場における円滑な事業活動の確保、国際競争力の維持・強化の観点から、今後の交渉にも適切に対応していくことが肝要です。タイとの経済連携協定につきましては今春の締結に向けて調整中であり、ASEANやインドネシア、チリとの経済連携協定につきましても、交渉中でございます。
また、アジア諸国を中心にわが国企業が持てる強みを活かして競争できるような市場を構築するためには、知的財産が保護される法制度の整備、厳格な運用が不可欠です。一昨年経済産業省に設置いたしました政府模倣品・海賊版対策総合窓口を中心に、今後もわが国企業の模倣品被害の調査を行っていくとともに、模倣品・海賊版の拡散を防止するための国際的約束の実現に向けて取り組んでまいります。
最後になりましたが、本年の皆様方のご健康とご多幸をお祈りいたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。